Mewing(ミューイング)とは?
セルフの顎矯正?
アメリカ矯正歯科学会(American assiciation of orthodontics:AAO)のHPにこのような記事がありました。
【ミューイングは顎の形態を変えるか】
皆さんはミューイングをご存じですか。
私が初めて目にしたのはSNSでモデルの方が「ミューイングするとフェイスラインが変わるよ」というフェイシャルアクササイズを紹介する内容だったかと思います。
もちろん、舌の位置が低い「低位舌」などは矯正歯科医になるための研修過程で学んできましたが、「ミューイング」という言葉は聞いたことがありませんでした。「口ごぼ」のような医療用語ではない、俗語のようなものでしょうか。
そんなワードがAAOのHPにあるのがとても意外でした。ブログが久々になってしまいましたが、日本ではアメリカほど広がっていないマイナーな内容を取り上げていきたいと思います。
AAOからの警告なようなものなので、「ミューイング」の実際の方法については差し控えさせていただきます。
↓以下訳文です↓
1.ミューイングが顎にどのように機能する??
ネットで急速に広がったミューイングは、舌を上あごに押し上げてフェイスラインをより際立たせるエクササイズです。ミューイングの支持者は、ミューイングが歯の配置を整え、全体的な顔の美を向上させることができると主張しています。これは信じてしまいそうになりますよね。
残念ながら、ミューイングがフェイスラインを整えるという科学的根拠は低いです。遺伝子、骨の成長、筋肉の発達の複雑な相互作用が顔の構造に影響を与えます。舌の位置を単に変えるだけでは、歯の配置を魔法のように修正し、あごの形を変え、矯正治療の必要性を防ぐことはできません。
2.顔の再構築は実際どのように機能するか
顔の再構築は、舌の安静時の位置を単純に変えることで達成されるものではありません。それは、あごの骨、顔の骨、および軟組織の移動を含む複雑なプロセスです。顎顔面の変形は通常、矯正治療で修正されます。ミューイングは最近、SNSで大きな話題となっています。しかし、現在の研究おいては、あごのラインや口腔健康に何ら利益をもたらすと示唆するものはありません。
実際、舌は体全体で最も強力な筋肉の1つです。そのため、歯や骨などの口腔の他の構造要素との複雑な関係で重要な役割を果たします。ミューイングを行っている人は、舌を自然ではない位置に不適切に押し付けることが望ましくない効果をもたらし、実際には次のような問題を引き起こす可能性があることに留意する必要があります。
- 歯のガタガタ
- 噛み合わせや発音の問題を悪化させる
- そして悪化した歯並びに複雑な治療を必要とする
DIY法であるミューイングなどのフェイシャルトレーニングに関しては、自宅で簡単な解決策を求める人々にとって魅力的な選択肢ですが、表面下で何が起こっているかを完全に考慮していません。AAOは、適切な監督なしに歯を動かしたり、顎を整えたりする行いを推奨していません。
3.舌の安静時の位置を修正できますか?
良いニュースは、訓練を受けた歯科矯正医があなたの舌の安静時の位置を評価し、必要に応じて他の専門家と協力して舌をより好ましい位置に導くことができるということです。AAOの歯科矯正医は、あなたの歯、顎、顔の骨の構造を理解しています。彼らはまた、口の一部を変えることが他の部分にどのような影響を与えるかを正しく評価することができます。たとえば、舌の自然な安静時の位置があなたの発音や噛み合わせの問題に影響を与えている可能性があります。
DIY治療を検討する前に、正しく実行されない場合に生じる可能性のある不可逆的で高額な損傷の可能性を検討してください。AAOの歯科矯正医からの指導を事前に受けることで、余計な経済的な負担を強いられることなく適切な咬合の整列が保証されます。
↑↑訳文以上↑↑
このようなブログが出ているのは、実際にDIY矯正という名の「ミューイングが」アメリカで行われていて、歯並びが悪化したという実害があるのであるんですね。
日本では、「舌は歯並びと大きく関係がありまして、、、」と説明すると、多くの方が「そうなんですか?!」と驚かれます。
舌はとっても奥深いです。舌の癖は「開咬」や「受け口」などの歯並びの悪化をもたらします。そして舌が寝ているときにだらーんと喉へ落ち込めば「睡眠時無呼吸症候群」となります。加齢により舌の運動も低下が起こり、「摂食嚥下障害」が起こります。つまり、どの年代の方にも適切な舌の位置というのは大切なんです!
そろそろ運動しないとまずいなー、という方は特に全身の筋力が低下している=舌の筋力も低下しているかもしれません。そんな時には、ぜひ歯医者さんでMFT(お口の筋トレ)について聞いてみてください。